ユーザ用ツール

サイト用ツール


rhizome:道行文

文書の過去の版を表示しています。


道行文

みちゆきぶん

軍記謡曲浄瑠璃などで、旅行の程にそって地名や光景などを述べた文章。 縁語序詞掛詞などを用いた技巧的な文章で、七五調韻文が多い。

(例)平家物語巻10「海道下」

四宮河原に成ぬれば、爰は昔延喜第四の王子、蝉丸の、關の嵐に心を清し、琵琶をひき給ひ
しに、博雅の三位といひし人、風の吹日も吹ぬ日も、雨の降る夜も降ぬ夜も三年が間歩を運
び、立聞て、彼の三曲を傳へけん藁屋の床の古へも、思遣られて哀也。逢坂山を打越えて、
勢多の唐橋駒もとゞろに蹈ならし、雲雀あがれる野路の里、志賀の浦浪春かけて霞に曇る鏡山、
比良の高峯をも北にして、伊吹の嵩も近附ぬ。心をとむとしなけれども、荒て中中優しきは
、不破の關屋の板びさし、如何に鳴海の鹽干潟、涙に袖はしをれつゝ、彼在原のなにがしの
、唐ころもきつゝなれにしとながめけん參河國 八橋にも成ぬれば、蛛手に物をと哀也。濱名
の橋を渡り給へば、松の梢に風亮て、入江に噪ぐ浪の音、さらでも旅は物憂きに、心を盡す夕
間暮、池田の宿にも著給ひぬ。
rhizome/道行文.1395133823.txt.gz · 最終更新: 2014/03/18 18:10 by Satoshi Nakagawa