rhizome:更級日記
更級日記
さらしなにっき
成立
平安時代中期の日記文学。作者は菅原孝標の女で、作者53歳、康平3年(1060)ごろの成立か。
更級日記の題名は、終わり近くにある和歌、
月もいでて闇にくれたる姥捨になにとて今宵たづね来つらむ
に由来するといわれる。この歌は、『古今和歌集』雑上878
我心なくさめかねつさらしなやをばすて山にてる月をみて
を踏まえて詠まれたもので、ここから作者自身により「さらしな」日記と命名されたという説が有力である。
また、作者の亡夫の任国、信濃の郡名も関係があるという説もある。
「さらしな」の漢字表記は「更級」とも「更科」とも書かれるが、現存諸本の祖本である定家本の外題により、今日では「更級」と書くのが一般的である。
内容
諸本
写本、版本などきわめて多いが、すべてその祖本は御物本といわれる、藤原定家自筆本である。
しかし、定家本の親本も誤りや不審の多い本だったらしく、定家自身奥書にその旨を記している。
また、定家本は綴じ誤りがはなはだしく、現存諸本がすべてその錯簡を踏襲していたために、大正13年の佐々木信綱・玉井幸助による定家本の発見までは完全には読み解かれなかった。
参考
電子テキスト
注釈書
- 朝日古典全書『更級日記』(玉井幸助・朝日新聞社・1950年2月)
- 講談社学術文庫『更級日記全訳注』(関根慶子・講談社・1977年8月、9月)
rhizome/更級日記.txt · 最終更新: 2014/04/19 01:53 by Satoshi Nakagawa