大和物語
先帝1)の御時、卯月のついたちの日、鶯の鳴かぬを詠ませ給ひける、公忠(きんただ)2)、
春はただ昨日ばかりを鶯のかぎれるごとも鳴かぬ今日かな
となん詠みたりける。
先帝の御ときう月のついたちの日 鶯のなかぬをよませ玉けるきんたた 春はたたきのうはかりを鶯の かきれることもなかぬけふかな となんよみたりける/d20l