大和物語
人の国の守の下りける馬のはなむけを、堤の中納言1)のして待ち給ひけるに、暮るるまで来ざりければ、言ひやり給ひける。
別るべきともあるものをひねもすに待つとてさへも歎きつるかな
とありければ、まどひ来にけり。
ひとのくにのかみのくたりけるむまの はなむけをつつみの中納言のして まちたまひけるにくるるまてこさ りけれはいひやり給ける/d37r
わかるへきともあるものをひね もすにまつとてさへもなけきつるかな とありけれはまとひきにけり/d37l