大和物語
故右京の大夫1)の、人のむすめを忍びて得たりけるを、親聞ききつけて、ののしりて、会はせざりければ、わびて帰りにけり。
さて、朝(あした)に詠みてやりける。
さもこそは峰の嵐は荒からめなびきし枝をうらみてぞ来し
故右京のかみのひとのむすめをしのひ てえたりけるをおやききつけて ののしりてあはせさりけれはわひてか えりにけりさてあしたによみてや りける さもこそはみねのあらしはあらから めなひきしえたをうらみてそこし/d31l