大和物語
先帝1)の御時、刑部の君とて、さぶらひ給ひける更衣の、里にまかり出で給ひて、久しく参り給はざりけるに、つかはしける。
大空を渡る春日のかげなれやよそにのみ見てのどけかるらん
先帝の御時刑部の君とてさふらひ給 ける更衣の里にまかりいてたまひて ひさしくまいり給はさりけるにつか はしける おほそらをわたる春日のかけな れやよそにのみみてのとけかるらん/d25r