大和物語
故式部卿宮1)を、桂の皇女2)、せちによばひ給ひけれど、おはしまさざりけるとき、月のいとおもしろかりける夜、御文(ふみ)奉り給へりけるに、
ひさかたの空なる月の身なりせばゆくとも見えで君は見てまし
となむありける。
故式部卿宮をかつらの御こせちによ はひたまひけれとおはしまささりけ/d14r
るとき月のいとおもしろかりける夜 御ふみたてまつり給えりけるに ひさかたのそらなる月のみなりせは ゆくともみえてきみはみてまし となむありける/d14l