大和物語
故式部卿宮1)の出羽(いでは)の御(ご)に、継父(ままちち)の少将2)住みけるを、離れてのち、女、薄(すすき)に文(ふみ)を付けてありければ、少将、
秋風になびく尾花は昔見したもとに似てぞ恋しかりける
となむ言へりければ、出羽の御、返り事、
たもとともしのばざらまし秋風になびく尾花のおどろかさずは
故式部卿宮のいてはのこにままちちの少将 すみけるをはなれてのち女すすきに ふみをつけてありけれは少将/d13r
あきかせになひくおはなはむかし みしたもとににてそこひしかりける となむいへりけれはいてはのこ返事 たもとともしのはさらまし秋かせ になひくおはなのおとろかさすは/d13l