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大和物語

第16段 陽成院の典侍の御継父の少将のもとに・・・

校訂本文

陽成院の典侍(すけ)の御(ご)、継父(ままちち)の少将のもとに、

  春の野ははるけながらも忘れ草生ふるは見ゆるものにぞありける1)

少将、返り事、

  春の野に生ひじとぞ思ふ忘れ草つらき心の種しなければ

翻刻

陽成院のすけのこままちちの少将のもとに
  春の野ははるけなからもわすれ
  くさつらき心のたねしなけれは
少将返事
  春ののにをひしとそおもふわすれく
  さおふるはみゆるものにそありける/d13r
1)
底本、次の歌とともに下の句が入れ替わっているため訂正。