大和物語
また、釣殿の宮1)に、若狭の御(ご)といひける人を召したりけるが、またも召しなかりければ、詠みて奉りける。
数ならぬ身に置く夜の白玉は光見えさすものにぞありける
と詠みて奉りたりければ、見給ひて、「あな、おもしろの玉の歌詠みや」となんのたまひける。
又つりとののみやにわかさのこといひける ひとをめしたりけるか又もめし なかりけれはよみてたてまつりける かすならぬみにをくよるのしら たまはひかりみえさすものにそありける とよみてたてまつりたりけれはみ給て/d12l
あなをもしろのたまのうたよみやと なんの給ける/d13r