大和物語
本院1)の北の方2)の御弟(みおとうと)の童(わらは)、名を「おほつふね」といふ、いますかりけり。
陽成院の御門に奉りたりけるを、おはしまさざりければ、詠みて奉りける、
あらたまの年は経ねども猿沢の池の玉藻(たまも)は見つべかりけり
敦忠中納言母在原棟梁女 本院のきたのかたのみをとうとの わらは名をををつふねといふいます/d12r
かりけり陽成院のみかとにたて まつりたりけるをおはしまささり けれはよみてたてまつりける あらたまのとしはへねともさるさは のいけのたまもはみつへかりけり/d12l