徒然草
とこしなへに違順(ゐじゆん)に使はるることは、ひとへに苦楽(くらく)のためなり。
楽といふは、好み愛することなり。これを求むること、止む時なし。楽欲(げうよく)する所、一つには名なり。名に二種あり。行跡と才芸との誉れなり。二つには色欲、三つには味はひなり。よろづの願ひ、この三つにはしかず。
これ、顛倒(てんだう)の相よりおこりて、そこばくの煩ひあり。求めざらんにはしかじ。
とこしなへに。違順につかはるる事は。 ひとへに苦楽のため也。楽といふはこのみ/k2-77l
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愛する事なり。是を求ること。やむ時 なし。楽欲する所。一には名也。名に二種 あり。行跡と才藝との誉也。二には色 欲。三には味なり。万のねがひ此三にはし かず。是顛倒の相よりおこりて。若干 のわづらひあり。もとめざらんにはしかじ/k2-78r
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