徒然草
よろづの道の人、たとひ不堪(ふかん)なりといへども、堪能(かんのう)の非家の人に並ぶ時、必ずまさることは、たゆみなく慎しみて軽々しくせぬと、ひとへに自由なるとの等しからぬなり。
芸能・所作のみにあらず、おほかたの振舞・心づかひも、愚かにして慎しめるは徳のもとなり。巧みにしてほしきままなるは、失のもとなり。
万の道の人。たとひ不堪なりといへど も、堪能の非家の人にならぶ時。必ま さる事は。たゆみなくつつしみて。 軽々敷せぬと。ひとへに自由なるとのひ としからぬ也。藝能所作のみにあらず。 大方のふるまひ。心づかひもをろかにし てつつしめるは徳の本也。たくみにして ほしきままなるは。失の本也/k2-38l
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