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徒然草

第182段 四条大納言隆親卿干鮭といふものを供御に参らせられたりけるを・・・

校訂本文

四条大納言隆親卿1)、干鮭(からざけ)といふものを供御(ぐご)に参らせられたりけるを、「かくあやしき物、参るやうあらじ」と、人の申しけるを聞きて、大納言、「鮭といふ魚、参らぬことにてあらんにこそあれ、鮭の白干(しらぼ)し、なでふ事かあらん。鮎の白干しは参らぬかは」と申されけり。

翻刻

四条大納言隆親卿。からざけと云もの
を。供御にまいらせられたりけるを。かくあ
やしき物。参るやうあらじと人の申
けるを聞て。大納言鮭といふ魚まいらぬ
事にてあらんにこそあれ。鮭のしらぼ
し何条事かあらん。あゆのしらぼし
は。まいらぬかはと申されけり/k2-36r

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0002/he10_00934_0002_p0036.jpg

1)
藤原隆親