目次

徒然草

第40段 因幡国に何の入道とかやいふ者の娘・・・

校訂本文

因幡国に、何の入道とかやいふ者の娘、形良しと聞きて、人あまた言ひわたりけれども、この娘、ただ栗をのみ食ひて、さらに米(よね)の類(たぐひ)を食はざりければ、「かかる異様(ことやう)の者、人に見ゆべきにあらず」とて、親、許さざりけり。

翻刻

因幡国に。何の入道とかやいふ者のむ
すめかたちよしとききて。人あまたいひ
わたりけれども。此むすめただ栗をの
み食て。更によねのたぐひをくはざり
ければ。かかることやうのもの。人にみゆべき
にあらずとて。おや。ゆるさざりけり/w1-31l

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0001/he10_00934_0001_p0031.jpg