三日、海の上、昨日のやうなれば、船出ださず。風吹くことやまねば、岸の波立ちかへる。これにつけて詠める歌、
緒(を)をよりてかひなきものは落ち積もる涙の珠(たま)をぬかぬなりけり
かくて今日暮れぬ。
三日うみのうへきのふのやうなれは ふねいたさすかせふくことやまね はきしのなみたちかへるこれに つけてよめるうた ををよりてかひ/kd-37l
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100421552/37?ln=ja
なきものはおちつもるなみたの たまをぬかぬなりけりかくてけふ くれぬ/kd-38r