醒睡笑 巻6 児の噂
貧々(ひんひん)と世を経る僧の、思ひに堪へかね、児を請じ大唐米1)の飯を出だせり。「これは珍しき物や」などと讃むる人もありけり。亭坊の言はるるやう、「せめてのご馳走に、米を染めさせたる」とあれば、かの児、箸を持ち直し、「さうかして、大唐飯(めし)のやうな」と。
一 貧々と世をふる僧の思ひに堪かね児を請し 大唐米の飯を出せり是はめつらしき物やなどと/n6-23r
ほむる人もありけり亭坊のいはるるやうせ めてのご馳走に米をそめさせたるとあれ は彼児箸をもちなをしさうかして大唐 めしのやうなと/n6-23l