醒睡笑 巻6 児の噂
七旬に余る老僧、児(ちご)のあまたある中にて、同宿どもに、「この十日も二十日も、一向食事がすすまぬことよ。ひとへにこれは年の寄り、困衰のしるしにや」と語られければ、大児(おほちご)申されたるこそめづらかなれ。「今年はや十八になれど、ひだるさはまだやまぬ」と。
一 七旬にあまる老僧児のあまたある中にて 同宿ともに此十日も廿日も一向食事がすすま ぬ事よひとへに是は年のより困衰のしるし にやとかたられけれは大児申されたるこそめ ずらかなれ今年はや十八になれとひたるさは/n6-13l
またやまぬと/n6-14r