醒睡笑 巻6 児の噂
八月十五夜の月に向かひ、坊主あまた集まり、児(ちご)もまじはりながめゐけるに、大児(おほちご)、「あれほどの餅をかかへて、そろそろ食はばおもしろからうの」とささやきける時、小児(こちご)、「されば、大きさはあれほどでもよいが、厚さを知らぬ」と。
月を題にて
雄長老
まるかりしなりも欠くるや天人の夜ごとにかぶるもち月のはて
一 八月十五夜の月にむかひ坊主あまたあつまり 児もましはり詠ゐけるに大児あれほとの 餅をかかへてそろそろくははおもしろからふのと ささやきける時小児されは大さはあれほとて もよひがあつさをしらぬと/n6-6r
月を題にて雄長老 円かりしなりもかくるや天人の 夜毎にかふるもち月のはて/n6-6l