醒睡笑 巻6 児の噂
振舞ひの菜に茗荷(みやうが)の刺身ありしを、人ありて、小児(こちご)に向かひ、「これをば、いにしへより今に至り、もの読み覚えむことをたしなむほどの人は、みな鈍根草(どんこんさう)と名付け、もの忘れするとて食はぬ」よし、申したれば、児聞いて、「あこは、それなら食はう。食うて、ひだるさ1)忘れう」と。
一 ふるまひの菜に茗荷のさしみありしを人 有て小児にむかひ是をはいにしへよりいまに いたり物よみおほえむ事をたしなむほとの人は みなどんこん草となつけ物わすれするとてく はぬよし申たれは児きいてあこはそれならく/n6-4r
はふくふてひたるきわすれうと/n6-4l