醒睡笑 巻5 人はそだち
住吉と聞く松原に ときは文月七夕や 逢瀬うれしき宮参り おのづからなる手向草(たむけぐさ) 染帷子(そめかたびら)の色こがれ 花やかなりし少人たち やすらふ影ももの深く 知るも知らぬも浦の浪 心を寄せて立ち聞けば あなあさましや蛇(くちなは)を 一つ見付けて言ひけるやう 鰻にしたらば五十せう かまぼこならば大板が 五枚あらうと程(ほど)をさした。
一 住吉ときく松原に ときは文月七夕や あふせうれしき宮参り をのつからなる手向草 そめかたひらのいろこがれ 花やかなりし少人たち やすらふかげも物ふかく しるもしらぬも浦の浪 心をよせてたちきけは あなあさましやくち なはを 一つ見つけていひけるやう うなきにしたらば五十せう かまほこならば 大板か 五枚あらうとほどをさした/n5-59r