醒睡笑 巻5 婲心
周防の太守大内殿1)の北の御方、在京のほどあるうちに、文(ふみ)二つのぼせり。御台(みだい)へのをば取り違へて、お花といふ女房たちへやり、お花のをば御台へ上げ参らせし時の返り事に、
思ふかた二つありその浜千鳥ふみ違へたる跡とこそ見れ
一 周防(すわう)の大守大内殿の北の御方在京の程ある 内にふみ二つのぼせり御臺(みだい)へのをばとりちかへ ておはなといふ女房たちへやりお花のをは 御臺へあげまいらせし時のかへり事に 思ふかた二つありその浜千鳥 ふみちかへたる跡とこそ見れ/n5-15r