醒睡笑 巻5 婲心
『新続古今1)』を撰ぜらるる時、歌人の数に入りなんことを望み、三百首詠みて上げけれどもなし。また百首重ねて上げ参らする包紙に、
かきすつる藻屑(もくづ)なりともこのたびはかへらでとまれ和歌の浦波
この一首、とまりてあり2)。
かの蜷川の新右衛門親当3)、心ざしのほどこそ。
いとはるるものの憎しとは見ず
うぐひすの羽風に花のうち散りて
一 新続古今を撰せらるる時哥人の数に 入なん事を望み三百首よみて上けれどもなし また百首かさねて上参らする包紙に かきすつるもくつなりともこのたひは かへらてとまれ和哥の浦浪 此一首とまりてあり。彼蜷川(になかは)の新右衛門親当 心ざしのほとこそ いとはるる物のにくしとは見ず うくひすの羽風に花の打散て/n5-14l