醒睡笑 巻3 不文字
乗り物を乗物(じやうぶつ)といふも、また魚を魚物(ぎよぶつ)といふも、一つことにや思ひけめ、十人ばかりつれ立ちて、振舞の帰るさに、件(くだん)の者言ひけるは、「おのおのはぎよぶつじやほどに、先へ御入りあれ。われわれは徒歩(かち)にて候ふほどに、静かに参らうずよ」と。
一 のり物を乗物(しやうぶつ)といふも又魚をぎよぶつと いふも一つことにやおもひけめ十人はかりつれ たちて振舞のかへるさにくたんの者いひける はをのをのはきよふつしやほとにさきへ御 入あれわれわれはかちにて候ほどにしづかに まいらふずよと/n3-23r