醒睡笑 巻2 貴人の行跡
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濃州のたいねんといふ人、徹書記1)年頭の祝儀に参られ、土産(とさん)を懐(ふところ)より取り出だし、上げられつる。取りて見給ひければ、
今年より惜しし欲ししの二心うすくなりせは国ぞおさまる
「千金の携へにもまされり」と褒美ありし。尤歌なるかな。
一 濃州のたいねんといふ人徹書記年頭/n2-14l
の祝儀に参られ土産を懐よりとり出し 上られつるとりて見給ひけれは 今年よりおししほししの二心 うすくなりせは国そおさまる 千金の携にもまされりと褒美ありし 尤哥なるかな/n2-15r