醒睡笑 巻1 祝ひ過ぎるも異なもの
行き暮れて、旅人立寄り一夜の宿を借りし。亭主出で合ひ、物語のついでに、「客(きやく)はいかなる芸能の候ふぞ」。「ちと歌道(かだう)を心得てあり」と。「さらば、幸ひの仕合(しあは)せなり。子をあまた持ちたるに、祝うて、発句を沙汰あれかし」とのぞむ時、
息子たち頭(かしら)かたかれ1)石仏(いしぼとけ)
一 行暮て旅人立寄一夜の宿をかりし亭 主出合物語のついてに客(きやく)は如何なる藝能(けいのう) の候ぞちと哥道を心得てありとさらは幸(わいわゐ) の仕合也子をあまたもちたるにいわふて発句 を沙汰あれかしとのそむ時 むす子たちかしらかたかれいしぼとけ/n1-71l