醒睡笑 巻1 落書
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秀吉公1)の御時、「ならかし」といふことあり。貸したる者、元を失墜せし上に、「なほ放埒(はうらつ)の働き罪科軽(かろ)からず」とて、再び黄金を出ださせ給へば、
奈良かしやこの天下殿(てんがどの)二重取りとにもかくにも強請(ねだ)れ人かな
一 秀吉公の御時ならかしといふ事ありかし たる者もとを失墜(しつつい)せしうへに猶放埒(はうらつ)の はたらき罪科(さいくわ)かろからすとて再黄金を 出させ給へは 奈良かしや此天下殿二重とり とにもかくにもねたれ人かな/n1-28r