蒙求和歌
袁安倚頼
後漢の袁安、字(あざな)は邵公、汝南人なり。司徒として世に仕へけり。
立居(たちゐ)のことには、世の政(まつりごと)の治まらむことをのみ、身の上のことと思へりけり。政のいささかも違(たが)ふ所あれば、泣く泣く歎きけり。
このゆゑに、おほやけを始めて、大臣以下、ことごとくこれをより頼みけり。
これやこの人の心をみよしののたのむのかりのよると鳴く声
袁(エム)安倚頼(ライ) 後漢ノ袁安アサナハ邵(セヲ)公汝南人也司/徒トシテヨニツカヘケリタチヰノコトニハ ヨノマツリコトノヲサマラムコトヲノミミノウヘノコトト思ヘリケリマツリ コトノイササカモタカフトコロアレハナクナクナケキケリコノユヘニヲホ ヤケヲハシメテ大臣已下コトコトクコレヲヨリタノミケリ コレヤコノ人ノココロヲミヨシノノタノムノカリノヨルトナクコエ/d2-43r