蒙求和歌
墨子悲糸
墨子、白き糸の染むるに随ひて、黄にもなり、黒くもなりゆくに付けて、浮世の色もまた移ろひやすく、定めなき心細さを思ひ乱れつつ、悲しびけるなり。
白糸(しらいと)の移ろひやすき色よりもほど経ぬものは浮世なりけり
墨子悲糸 墨子シロキ糸ノソムルニ随テ黄ニモナリ/クロクモナリユクニ付テウキヨノ色モ又 ウツロヒヤスクサタメナキ心ホソサヲ思ヒミタレツツカナシヒケル也 シラツイトノウツロヒヤスキイロヨリモホトヘヌモノハウキヨナリケリ/d2-19r