昔、おほきおほいまうちぎみ1)と聞こゆる、おはしけり。つかうまつる男、九月ばかりに、梅のつくり枝に雉子(きじ)を付けて奉るとて、
わが頼む君がためにと折る花はときしもわかぬものにぞありける
と詠みて奉りたりければ、いとかしこくをかしがり給ひて、使(つかひ)に禄(ろく)賜へりけり。
むかしおほきおほいまうち君ときこゆる おはしけりつかうまつるおとこ長月はかり に梅のつくりえたにきしをつけて たてまつるとて わかたのむ君かためにとおる花は ときしもわかぬものにそ有ける/s109r
とよみてたてまつりたりけれはいとかしこ くをかしかり給ひてつかひにろくた まへりけり/s109l
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/109?ln=ja
【絵】/s110r