昔、男、和泉の国1)へ行(い)きけり。住吉の郡(こほり)、住吉の里、住吉の浜を行くに、いとおもしろければ、おりゐつつ行く。ある人、「住吉の浜と詠め」と言ふ。
雁鳴きて菊の花咲くあきはあれど春のうみ辺にすみよしの浜
と詠めりければ、みな人々詠まずなりにけり。
むかしおとこいつみのくにへいきけり 住よしのこほり住吉のさとすみよし のはまをゆくにいとおもしろけれはおり ゐつつゆくある人すみよしのはまとよ めといふ かりなきて菊のはなさく秋はあれと 春のうみ辺にすみよしのはま とよめりけれはみなひとひとよますなり にけり/s77l
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/77?ln=ja
【絵】/s78r