今物語
小侍従が子に、法橋実賢といふ者ありけり。いかなりけることにか、世の人、これを「ひきがへる」といふ名を付けたりける。
法眼を望み申して、
法の橋の下に年経るひきがへる今ひと上がり飛び上がらばや
と、申したりければ、やがてなされにけり。
小侍従か子に法橋実賢といふ者ありけりいかなりける 事にか世の人これをひきかへるといふ名をつけたりける 法眼を望申て 法のはしの下に年ふるひきかへるいまひとあかりとひあからはや と申たりけれはやかてなされにけり/s29r