宇治拾遺物語 ====== 第61話(巻4・第9話)業遠朝臣、蘇生の事 ====== **業遠朝臣蘇生事** **業遠朝臣、蘇生の事** ===== 校訂本文 ===== これも今は昔、業遠朝臣((高階業遠))、死ぬる時、御堂の入道殿((藤原道長))、仰せられけるは、「言ひ置くべきことあらむかし。不便のことなり」とて、解脱寺の観修僧正を召して、業遠が家に向ひ給ひて、加持する間、死人、たちまちに蘇生して、要事を言ひて後、また、目を閉ぢてけりとか。 ===== 翻刻 ===== これもいまはむかし業遠朝臣死る時御堂の入道殿仰られけるは いひをくへき事あらむかし不便の事なりとて解脱寺の観修 僧正をめして業遠か家にむかひ給て加持する間死人忽に蘇 生して要事をいひて後又めを閉てけりとか/70オy143