大和物語 ====== 第128段 この檜垣の御歌をなん詠むと言ひて数寄者ども集まりて・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== この檜垣の御((檜垣嫗))、歌をなん詠むと言ひて、数寄者(すきもの)ども集まりて、「詠みがたかるべき末を付けさせん」とて、かく言ひけり   わたつみの中にぞ立てるさを鹿は((底本、「さをし」の下磨滅。諸本により「かは」補入。)) とて、末を付けさするに、   秋の山辺やそこに見ゆらん とぞ、付けたりける。 ===== 翻刻 ===== このひかきのこうたをなんよむとい ひてすきものともあつまりてよみ かたかるへきすえをつけさせんとて/d19l かくいひけり わたつみのなかにそたてるさをし□□ とてすえをつけさするに あきのやまへやそこにみゆらん とそつけたりける/d20r