大和物語 ====== 第121段 さねたうの少弐といひける人のむすめの男・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== さねたうの少弐といひける人のむすめの男、   笛竹の一よも君と寝ぬときは千種(ちぐさ)の声に音こそなかるれ と言ひければ、女、返し、   千々(ちぢ)の音は言葉のふきか笛竹のこちくの声も聞こえ来なくに ===== 翻刻 ===== さねたうの少弐といひけるひとのむす めのおとこ ふゑたけのひと夜もきみとね ぬときはちくさのこゑにねこそなかるれ といひけれは女かへし ちちのねはことはのふきかふえ たけのこちくのこゑもきこえこなくに/d15l