大和物語 ====== 第96段 かくて九の君の侍従の君にあはせ奉り給ひてけり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== かくて(([[u_yamato094|94段]]参照。))、九の君((藤原定方の娘))の侍従の君((藤原師尹))にあはせ奉り給ひてけり。 同じころ、御息所((藤原定方の女能子))を、宮((式部卿宮。宇多天皇皇子敦実親王))、おはしまさずなりにければ(([[u_yamato095|95段]]参照。))、左の大臣(おとど)((藤原実頼))の、右衛門の督におはしけるころ、御文奉り給ひけり。 「この君、婿取られ給ひにけり」と聞き給ひて、大臣(おとど)の、御息所に、   波の立つかたも知らねどわたつうみのうらやましくも思ほゆるかな ===== 翻刻 ===== かくて九の君のししうの君にあはせ たてまつり給ひてけり同ころみやす所を みやおはしまさすなりにけれは左の おととの右衛門の督におはしけるころ御 ふみたてまつり給けりこのきみむこ とられたまひにけりときき給ておとと のみやすところに/d48r なみのたつかたもしらねとわたつ うみのうらやましくもおもほゆるかな/d48l