大和物語 ====== 第95段 同じ右の大臣の御息所御門おはしまさずなりてのち・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 同じ右の大臣(おとど)の御息所((藤原定方の女能子。[[u_yamato094|94段]]参照。))、御門おはしまさずなりてのち、式部卿敦実((宇多天皇皇子敦実親王))なんど住み奉り給ひけるを、いかがありけん、おはしまさざりけるころ、斎宮の御もとより、御文(おんふみ)奉り給ひけるに、御息所の、宮おはしまさぬことなど、聞こえ給ひて、奥に、   白山(しらやま)に降りにし雪の跡絶えて今日はこしぢの人も通はず となんありける。 御返りあれど、本に、「なし」とあり。 ===== 翻刻 ===== おなし右のおととのみやす所みかと おはしまさすなりてのち式部卿敦実 なんとすみたてまつりたまひけるを いかかありけんおはしまささりけるころ さい宮の御もとより御ふみたてまつ り給けるに宮す所のみやおはしま さぬことなときこえ給てをくに/d47l しらやまにふりにしゆきのあ とたえてけふはこしちの人もかよはす となんありける御かへりあれと 本になしとあり/d48r