大和物語 ====== 第88段 同じ男紀の国に下るに寒しとて衣を取りにおこせたりければ・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 同じ男((兵庫頭。[[u_yamato087|87段]]参照))、紀の国((紀伊国))に下るに、「寒し」とて、衣(きぬ)を取りにおこせたりければ、女、   紀の国の牟婁(むろ)の郡(こほり)に行く人は風の寒さも思ひ知られじ 返し、男、   紀の国の牟婁の郡に行きながら君とふすまのなきぞわびしき ===== 翻刻 ===== おなしおとこきのくににくたる に寒しとてきぬをとりにおこせたりけれ はをんな きのくにのむろのこほりにゆく/d42l ひとはかせのさむさもおもひしられし かへしおとこ きのくにのむろのこほりにゆき なからきみとふすまのなきそわひしき/d43r