大和物語 ====== 第72段 同じ宮おはしましける時亭子院に住み給ひけり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 同じ宮((宇多天皇皇子敦慶親王。[[u_yamato071|71段]]参照。))、おはしましける時、亭子院に住み給ひけり。 この宮の御もとに、兼盛((平兼盛))参りけり。召し出でて、もののたまひなどしけり。 失せ給て後、かの院を見るにいとあはれなり。池のいとおもしろきに、あはれなりければ、詠みける。   池はなほ昔ながらの鏡にて影見し君がなきぞ悲しき ===== 翻刻 ===== おなし宮おはしましけるとき亭子/d36l 院にすみ給けりこのみやの御もとに かねもりまいりけりめしいててもの の給なとしけりうせ給てのちかの院 をみるにいとあはれなりいけのいとをも しろきにあはれなりけれはよみける いけはなをむかしなからのかかみに てかけみしきみかなきそかなしき/d37r