大和物語 ====== 第42段 恵秀といふ法師のある人の御験者つかうまつりけるほどに・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 恵秀といふ法師の、ある人の御験者つかうまつりけるほどに、とかく世の中に言ふことありければ、詠みたりける。   里はいふ山にはさはぐ白雲(しらくも)の空にはかなき身とやなりなん とありける。 また、この人((「ある人」に同じ。))の御もとに詠みたりける。   朝ぼらけわが身は庭のしもながら何を種にて心生ひけん ===== 翻刻 ===== ゑしうといふ法師のあるひとの御験者/d22l つかうまつりけるほとにとかくよの なかにいふことありけれはよみたりける さとはいふ山にはさはくしら雲の そらにはかなき身とやなりなん とありける又このひとの御もとによみ たりける あさほらけ我身はにはのしもな からなにをたねにてこころをひけん/d23r