大和物語 ====== 第24段 先帝の御時に右大臣殿の女御上の御局に詣で上り給ひて・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 先帝(せんてい)((醍醐天皇・清和天皇などの説がある。))の御時に、右大臣殿の女御((藤原能子・藤原多美子などの説がある。))、上の御局(みつぼね)に詣で上り給ひて、さぶらひ給ひける。 「おはしましやする」とした待ち給ひけるに、おはしまさざりければ、   ひぐらしに君まつ山のほととぎすとはぬときにぞ声も惜しまぬ となむ聞こえ給ひける。 ===== 翻刻 ===== 先帝の御時に右大臣殿の女御うへの御 つほねにまうてのほりたまひてさふ らひ給ひけるをはしましやするとしたまち たまひけるにおはしまささりけれは ひくらしにきみまつやまのほとと きすとはぬときにそこゑもをしまぬ/d16r となむきこえたまひける/d16l