大和物語 ====== 第20段 故式部卿宮を桂の皇女せちによばひ給ひけれど・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 故式部卿宮((宇多天皇皇子敦慶親王))を、桂の皇女((宇多天皇皇女孚子内親王))、せちによばひ給ひけれど、おはしまさざりけるとき、月のいとおもしろかりける夜、御文(ふみ)奉り給へりけるに、   ひさかたの空なる月の身なりせばゆくとも見えで君は見てまし となむありける。 ===== 翻刻 ===== 故式部卿宮をかつらの御こせちによ はひたまひけれとおはしまささりけ/d14r るとき月のいとおもしろかりける夜 御ふみたてまつり給えりけるに ひさかたのそらなる月のみなりせは ゆくともみえてきみはみてまし となむありける/d14l