大和物語 ====== 第15段 また、釣殿の宮に若狭の御といひける人を召したりけるが・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== また、釣殿の宮((光孝天皇皇女綏子内親王。陽成院妃))に、若狭の御(ご)といひける人を召したりけるが、またも召しなかりければ、詠みて奉りける。   数ならぬ身に置く夜の白玉は光見えさすものにぞありける と詠みて奉りたりければ、見給ひて、「あな、おもしろの玉の歌詠みや」となんのたまひける。 ===== 翻刻 ===== 又つりとののみやにわかさのこといひける ひとをめしたりけるか又もめし なかりけれはよみてたてまつりける かすならぬみにをくよるのしら たまはひかりみえさすものにそありける とよみてたてまつりたりけれはみ給て/d12l あなをもしろのたまのうたよみやと なんの給ける/d13r