徒然草 ====== 第233段 よろづの咎あらじと思はば・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 「よろづの咎(とが)あらじ」と思はば、何事にもまことありて、人を分かず、うやうやしく、言葉少なからんにはしかじ。 男女・老少、みなさる人こそよけれども、ことに若く形よき人の、言(こと)うるはしきは、忘れがたく、思ひつかるるものなり。 よろづの咎は、馴れたるさまに上手めき、所得たる気色として、人をないがしろにするにあり。 ===== 翻刻 ===== 万のとがあらじと思はば。何事にも まことありて。人をわかずうやうやし く。言葉すくなからんにはしかじ。男 女老少みなさる人こそよけれども。こ とにわかくかたちよき人の。ことうるは しきは忘れがたく。思ひつかるるもの 也。万のとがは。なれたるさまに上手/k2-67r めき。所えたるけしきとして。人をない がしろにするにあり/k2-67l http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0002/he10_00934_0002_p0067.jpg