徒然草 ====== 第203段 勅勘の所に靫かくる作法今は絶えて知れる人なし・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 勅勘(ちよくかん)の所に、靫(ゆき)かくる作法、今は絶えて知れる人なし。 主上の御悩(ごなう)、おほかた世の中の騒がしき時は、五条の天神に靫をかけらる。鞍馬に、ゆきの明神((由岐神社))といふも、靫かけられたりける神なり。 看督長(かどのをさ)の負ひたる靫を、その家にかけられぬれば、人出で入らず。このこと絶えて後、今の世には、封を付くることになりにけり。 ===== 翻刻 ===== 勅勘の所に。靫かくる作法。今はたえて しれる人なし。主上の御悩。大方世中の さはがしき時は。五条の天神に靫をか けらる。鞍馬にゆきの明神といふも。靫/k2-49r かけられたりける神也。看督長の 負たる靫を。其家にかけられぬれば 人出いらず。此事絶て後。今の世には 封をつくることになりにけり。犯人をし/k2-49l http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0002/he10_00934_0002_p0049.jpg