徒然草 ====== 第146段 明雲座主相者にあひ給ひておのれもし兵仗の難やあると・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 明雲座主、相者にあひ給ひて、「おのれ、もし、兵仗(ひやうぢやう)の難やある」と尋ね給ひければ、相人、「まことにその相おはします」と申す。「いかなる相ぞ」と尋ね給ひければ、「傷害の恐れおはしますまじき御身にて、かりにもかく思し寄りて尋ね給ふ。これ、すでにその危ぶみのきざしなり」と申しけり。 はたして、矢に当りて失せ給ひにけり。 ===== 翻刻 ===== 明雲座主。相者に逢給て。をのれ 若兵仗の難やあると尋給ければ。相 人誠に其相おはしますと申。いかなる 相ぞと尋給ければ。傷害のをそれお はしますまじき御身にて。かりにもかく/w2-14l http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0002/he10_00934_0002_p0014.jpg おぼしよりてたづね給ふ。是既に其 あやぶみのきざしなりと申けり。はた して矢にあたりてうせ給にけり/w2-15r http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0002/he10_00934_0002_p0015.jpg