徒然草 ====== 第88段 ある者小野道風の書ける和漢朗詠集とて持ちたりけるを・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== ある者、小野道風の書ける和漢朗詠集とて持ちたりけるを、ある人、「御相伝、浮けることには侍らじなれども、四条大納言((藤原公任))撰ばれたるものを、道風書かんこと、時代やたがひ侍らん。おぼつかなくこそ」と言ひければ、「さ候へばこそ、世にありがたきものには侍りけれ」とて、いよいよ秘蔵(ひさう)しけり。 ===== 翻刻 ===== 或者。小野道風の書る和漢朗詠集 とて持たりけるを。有人。御相伝うける 事には侍らじなれども。四条大納言 撰れたる物を。道風かかん事。時代 やたがひ侍らん。覚束なくこそといひ ければ。さ候へばこそ。世にありがたき物には 侍りけれとて。いよいよ秘蔵しけり/w1-66r http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0001/he10_00934_0001_p0066.jpg