徒然草 ====== 第79段 何ごとも入りたたぬさましたるぞよき・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 何ごとも入りたたぬさましたるぞよき。 よき人は、知りたることとて、さのみ知り顔にやは言ふ。片田舎よりさし出でたる人こそ、よろづの道に心得たるよしの、さしいらへはすれ。 されば、世に恥づかしきかたもあれど、みづからも、「いみじ」と思へる気色(けしき)、かたくななり。 よくわきまへたる道には、必ず口重く、問はぬ限りは言はぬこそいみじけれ。 ===== 翻刻 ===== 何事も。入たたぬさましたるぞよき。 よき人は知たる事とて。さのみしりがほに やはいふ。かた田舎よりさし出たる人こそ。/w1-59l http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0001/he10_00934_0001_p0059.jpg 万の道に心得たるよしのさしいらへは すれ。されば世にはづかしきかたもあれど。 みづからもいみじと思へるけしきかたく ななり。よくわきまへたる道には。必口をも く。とはぬ限は。いはぬこそいみじけれ/w1-60r http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0001/he10_00934_0001_p0060.jpg