徒然草 ====== 第78段 今様のことどもの珍しきを言ひ広めもてなすこそまたうけられね・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 今様(いまやう)のことどもの珍しきを、言ひ広めもてなすこそ、またうけられね。世に、こと古りたるまで知らぬ人は、心にくし。 いまさらの人などのある時、ここもとに言ひつけたることぐさ、物の名など、心得たる同志(どち)、かたはし言ひかはし、目見合せ、笑ひなどして、心知らぬ人に心得ず思はすること、世なれず、よからぬ人の、必ずあることなり。 ===== 翻刻 ===== いまやうの事どものめづらしきを。 いひひろめもてなすこそ。又うけられ/w1-59r ね。世にことふりたるまでしらぬ人は。 心にくし。いまさらの人などのある時。 ここもとにいひつけたることくさ。ものの 名など心得たるどち。かたはしいひかは し目みあはせわらひなどして。心しらぬ 人に心えずおもはする事。世なれずよ からぬ人の。かならずある事也/w1-59l http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0001/he10_00934_0001_p0059.jpg