徒然草 ====== 第72段 賤げなるもの・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 賤(いやし)げなるもの。居たるあたりに調度の多き。硯に筆の多き。持仏堂に仏の多き。前栽(せんざい)に石・草木の多き。家の内に子孫(こうまご)の多き。人にあひて詞(ことば)の多き。願文に作善(さぜん)多く書き載せたる。 多くて見苦しからぬは、文車(ふぐるま)の文、塵塚(ちりづか)の塵。 ===== 翻刻 ===== 賤げなる物居たるあたりに調度のおほ き。硯に筆のおほき。持仏堂に仏のおほ き。前栽に石草木のおほき。家の内に 子孫のおほき。人にあひて詞のおほき。願文 に作善おほく書のせたる。おほくて見/w1-55r ぐるしからぬは。文車の文。塵塚のちり/w1-55l http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0001/he10_00934_0001_p0055.jpg